心臓ペースメーカ・ICD

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ペースメーカとは

ペースメーカとは

ペースメーカは鎖骨の下の皮下に留置した本体と心臓内に留置したリードからなり(図)、本体で発生させた電気刺激をリードを通して心臓に伝えて心臓を動かす器械です。脈拍が遅くなる疾患が適応になります。
ペースメーカには多彩な機能があり、個人個人に合わせた設定が可能です。設定変更や電池残量のチェックは専用の装置を本体に当てるだけで行うことができ、植え込み後は3〜6カ月に1回外来でチェックをします。

また最近は自宅にいながらペースメーカチェックを受けられる遠隔モニタリングも行っています。
電池寿命は10年前後で、電池がなくなりますと本体交換が必要になります。
以前はペースメーカ植込み後はMRI撮影ができませんでしたが、2012年10月よりMRI対応ペースメーカが登場しました。ただしMRI撮影時にはペースメーカの設定変更が必要なため担当医にご相談ください。

ICD・CRT認定施設一覧(日本不整脈デバイス工業会)

どのような症状(病気)が対象?

心臓は1日約10万回拍動して全身に血液をおくり続けています。心臓の拍動が遅くなったり、一時的に止まってしまいますとめまいや失神、心不全が起こります。ペースメーカはこのような徐脈(洞不全症候群、房室ブロック)に対する治療方法です。

リードレスペースメーカ

リードレスペースメーカ

2017年9月からリードがなく直接心臓内に植え込むカプセル型のリードレスペースメーカが使用できるようになりました(図)。本体が皮下にないため、本体による皮膚トラブルはありません。全ての病客さまに植込みできるわけではありませんので、担当にご相談ください。

手術方法は?

鎖骨の下を4cm程度切開し、ペースメーカ本体が入るポケットを作成します。リード線を右心室と右心房に挿入してリード線と本体を接続します。本体を皮下ポケットに埋め込み、皮膚を縫合します。手術は2時間程度で病室に戻ったあとは歩行可能です。入院期間は1週間程度です。
合併症は出血、感染、気胸、不整脈、穿孔などがあります。

ICD(植込み型除細動器)

ICD(提供 日本メドトロニック)
sICD

心室頻拍や心室細動という危険な頻脈に対する治療を行う医療機器です。心筋梗塞後、心不全、ブルガダ症候群などの病客さまでは突然このような危険な不整脈を起こすことがあります。ICDは突然起こった心室頻拍や心室細動を自動的に感知し、電気ショックを与えることで心臓の動きを正常に戻します。
本体を鎖骨下に留置し、心室内にリードを挿入するICDと本体を左側胸部に留置してリードを皮下を通して心臓の前に持ってくるsICDの二種類があります。
電池寿命は5〜10年で、電池がなくなれば本体交換が必要です。

ペースメーカとの違いは?

大きさが異なります。ペースメーカが約25gに対し、ICDは約77gです。ペースメーカは徐脈に対する治療を行いますが、ICDは心室頻拍、心室細動という危険性の高い不整脈に対する治療を行う機器です。ICDには徐脈に対するペーシング機能もあります(sICDにはありません)。

心室頻拍、心室細動の原因は?

  1. 心筋梗塞:心筋に栄養や酸素を送っている冠動脈がつまって心筋が壊死する病気
  2. 肥大型心筋症:心筋が肥大することによって心臓が十分に拡張できなくなる病気
  3. 拡張型心筋症:心筋細胞が変性して心機能が低下する病気
  4. 不整脈源性右室異形成:右心室の筋肉の一部が脂肪組織におきかわってしまう病気
  5. 特発性心室細動(ブルガダ症候群など):心臓には明らかな異常はないのに心室細動を起こす疾患

手術の方法は?

鎖骨の下の胸部に植え込みます。皮下にICD本体が入るポケットを作成し、リード線を心室内に挿入します。本体とリード線を接続してポケットに収納し、皮膚を縫合します。手術にかかる時間は約2〜3時間程度で、病室に戻った後は歩行可能です。入院は7〜10日程度です。

CRT(両心室ペースメーカ)

CRT(提供 日本メドトロニック)

CRTは重症心不全に対する新しいペースメーカ療法で、ペースメーカを使って心臓のポンプ機能の改善をはかる治療方法です。重症心不全では心室収縮のタイミングがずれて血液を送り出す効率が悪くなることがあります。CRTは左心室側にもリードを挿入して収縮のタイミングを修正(再同期)することでポンプ機能を改善させます。

CRTが勧められる状態は?

拡張型心筋症や陳旧性心筋梗塞などによる心不全で、さらに薬物治療で心不全改善しない場合に適応になります。具体的にはNYHAクラスIIIまたはIV(家庭内の極軽い労作でも息切れがあるか入退院の繰り返し)、心電図のQRS幅130ms以上、左室駆出率35%以下の場合に適応になります。
CRTにはペースメーカ機能のみのCRTPと除細動機能がついたCRTDがあり、心室頻拍や心室細動など致死性不整脈を合併した病客さまはCRTDの適応になります。

手術方法は?

鎖骨の下に植え込みます。皮下に本体を入れるポケットを作り、心房と右心室、左心室にリードを挿入します。手術時間は3時間程度、入院期間は心不全の状態により異なりますが、心不全が落ち着いていれば7〜10日間です。

日常生活や社会生活におけるペースメーカ、ICD、CRTへの影響

退院後は普通の日常生活が可能です。しかしペースメーカは外部からの電気や磁力に影響を受けることがありますので注意が必要です。

影響を受けないもの

電気カーペット、電気毛布、敷布、電子レンジ、テレビ、ラジオ、パソコン、エアコン、空気清浄機、加湿器、コタツ、洗濯機、掃除機、補聴器、電車など公共の交通機関など

影響を受ける可能性があるもの

電磁調理器、IH炊飯器、携帯電話、盗難防止装置など

使用できないもの

マッサージチェア、体脂肪計、電気自動車の急速充電器、高周波治療器、低周波治療器、全自動麻雀卓など

植え込み型心電計

心電図を継続的に記録する機械で、不整脈が失神や脳梗塞の原因になっていないか調べることが可能です。植え込み後2〜3年間心電図を継続して記録することが可能ですので、ホルター心電図と比較して不整脈の検出率が高いと報告されています。
非常に小さな機械で、前胸部を1cm切開して皮膚の下に入れます。手術時間は30分、入院は1泊2日です。退院後はいつも通りの生活をすることができます。

使い方は?

(提供 日本メドトロニック)

不整脈を自動で検知してその前後の心電図を記録します。失神や動悸などの症状を感じた時場合は専用の携帯型リモコンのボタンを押して胸にあてると、その前後の心電図が記録されます。リモコン操作の数分前の心電図も記録できるので、意識が回復してから操作をすることで、失神前、失神中、回復後の一連の心電図を残すことができます。

記録された心電図は専用の装置を使って読み出し、分析します。専用の機械を当てることで心電図を読み込むことが可能ですので、植込み型心電計を体外に取り出す必要はありません。
失神が起きたときの心電図を見ることで、失神が心臓の病気に由来するものか、心臓以外に原因があるのかの診断ができ、原因に応じた治療を行うことができます。

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