人工透析内科

透析の予後を改善し、
よりよい生活を
送っていただくために。

安定した維持透析病客さまはもちろん、循環器系合併症を抱えた維持透析病客さまの管理・治療、および他院で維持透析を受けられている病客さまの循環器系合併症の治療も行っております。
透析スタッフ一同、透析病客さまに充実した生活が送れるよう、全力を尽くしてお世話させていただいております。

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治療の特徴

なぜ心臓病センターなのに腎臓の病気を診るのか?

心臓の機能と腎臓の機能は非常に密接な関係にあります。
循環器疾患に腎不全を合併し人工透析が必要になる場合や、透析導入後の合併症に高血圧、狭心症、不整脈などがあり、循環器専門医による治療が必要な場合がしばしば認められます。
また透析の死因として最も多いのが心不全です。
心筋梗塞も合わせると約40%の透析病客さまが、循環器系合併症で亡くなります。したがって、透析の予後を改善し、よりよい生活を送っていただくために、循環器系合併症の専門的治療は必要不可欠です。
当院では、透析専門医と循環器専門医とが協力して治療を行っています。
また近年、透析に糖尿病性腎症(糖尿病が原因で腎臓に機能が低下する疾患)の占める割合は、増加の一途をたどっています。

CKD(慢性腎臓病)について 〔病院NOW41(2009/1)より〕

※1 GoAS, eral NErhlJMed2004:1290・1305より引用、改変

近年、「慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は、心血管疾患の大きな危険因子である」とする多くの証拠が提出された(※1
また病態解明の研究成果に基づく治療法が進歩し、「慢性腎臓病には治療法がある」ということが明確になってきたことなどが、慢性腎臓病対策が大きく注目を集めている背景にあるといえる。)。

腎機能を、血清クレアチニン値のみで評価すると、高齢者の腎機能障害を往々にして見逃し、副作用や合併症を起こすことが多い。
たとえば75才の女性でクレアチニンが1.6mg/dlであっても、推定糸球体濾過量(eGFR)は、実際には23.3%と高度の腎機能障害を認めている。

高齢であり腎機能もある程度年齢とともに悪化はしているが、年齢相応で仕方がないと考えていても、高度の腎機能障害があれば、腎排泄性の薬物は減量や投与間隔の延長を行う必要がある。
また更なる腎機能の悪化を招かないためにも、感冒薬なども含めた非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、造影剤、抗生物質なども、安易に使用することは慎まなければならない。

超高齢化社会で80才以上でも透析をする時代になっており、正確な腎機能の状態を常に認識する必要が出てきている。
正確な腎機能の指標GFR(糸球体濾過量)として、クレアチニンクリアランスが今まで使われていたが、煩雑なために外来等の一般臨床ではほとんど行われなかった。
最近になり年齢・性別・血清クレアチニン値で、ほぼ正確な腎機能を推定(eGFR)して評価することができるようになった。

eGFRについては、計算が煩雑なため今のところは早見表や電卓で求める必要があるが、今後eGFRが普及するにつれ血清クレアチニンと同時に計算されてデータとして知ることが可能になっていくと思われる。
CKD対策として重要なことは、まず全ての症例についてeGFRを測定して腎機能障害がどの程度進行しているかを把握することである。

その次に、腎機能の傷害の程度に応じて対策をとることである。
残念ながら、いったん傷害された腎機能が回復することはなかなか困難である。
慢性腎不全の治療には特効薬はない、しかしながら地道に注意事項(※2)を実行するかどうかで、明らかに腎機能障害の悪化スピードが変わることがわかってきている。

※2慢性腎臓病の治療として重要なこと
  • まず禁煙・減塩・肥満の改善など生活習慣の改善を、第一に行う。
  • 血圧の管理目標は130/80mmHg未満であり、緩徐に降圧することを原則とする。
  • 降圧にはACE阻害薬やARBを第一選択薬とし、必要に応じて他の降圧薬を併用する。
  • ACE阻害薬やARB投与時には血清クレアチニン値の上昇や高K血症に注意する。
  • 糖尿病性腎症では血統をHbA1C6.5未満に管理する。
  • LDLコレステロールは120mg/dl未満に管理する。
  • 腎性貧血を疑う場合は、腎臓専門医に相談する。
  • 非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、造影剤、抗生物質、脱水など腎臓の負担になることをなるべく取り除く。
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