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心臓血管外科

 当施設は榊原亨により開設され、1936年に日本初の心臓手術(心臓外傷)を行っています。
その後変遷を経ながら、現在は循環器専門病院として、
成人の循環器疾患を主体に心臓血管外科の専門医が診療を行っています。
累積の心臓血管外科手術数は現在まで約14,000症例となっています(2007年12月)。
2007年の心臓手術334例、大血管手術188例、末梢血管手術183例、ペースメーカー・ICD手術172例で、総計877例でした。
原則としてすべての緊急手術症例を受け入れています。
手術症例の特徴として、高齢化、他科の病気(糖尿病・腎不全・消化器疾患)の併存などにより、 重症の手術症例が増加しております。

心臓弁膜症
 心臓弁膜症手術の当院での特色は、 心房細動がある症例では積極的にmaze手術も施行しており、房室弁の形成術(僧帽弁、三尖弁)も積極的に行っています。
また、症例に応じて低侵襲心臓手術(小切開手術やポートアクセス)での手術も行っています。

ポートアクセス手術
創の最小長は3cm、最短では術後2日で退院されています。(平均5cm、術後7日目退院)
また、大動脈弁閉鎖不全症に対する弁置換術も行っています。

虚血性心疾患
 心拍動下冠動脈バイパス術も積極的に行っています。
また、心筋梗塞後の心不全に対する左室形成手術や虚血性僧帽弁逆流に対する僧帽弁形成手術も行っています。

大動脈瘤
 大血管手術数が2004年より増加しました。
大動脈解離に対する緊急手術成績も安定し積極的に上行弓部大動脈までの人工血管置換を行っています。
破裂例、超高齢者の症例が増加しています。
 また、腹部大動脈瘤に対し、皮膚切開10 cm程度の低侵襲血管外科手術(MIVS : Minimally Invasive Vascular Surgery)を、日本で最初に行っており、過半数の症例がMIVS手術となっています。
今後広く普及させたいと考えています。

 大動脈瘤に対する低侵襲治療としてステントグラフト留置術があります。
当院でも1998年より一部の病客さまに対してステントグラフト留置術を行ってきました。
ステントグラフト留置術は開胸あるいは開腹といった大がかりな手術操作を必要とせず、太ももの部位の動脈からカテーテルを用いて人工血管を大動脈内に留置して大動脈瘤の破裂を予防する方法です。
 開胸、あるいは開腹手術を行わないため病客さまにかかる負担は極めて少なくなり早期退院、早期社会復帰が可能となります。
(2007年5月に岡山県では初めてのZenith AAA エンドバスキュラーグラフトを用いての腹部大動脈瘤に対するステントグラフト留置術を施行)

緊急手術に24時間対応し、循環器疾患を1人でも救いたいと考えていることを申し添えさせていただきます

スタッフ

2007/03

◆循環器科

 心臓に関するあらゆる検査が、月曜日から土曜日まで同じように行える体制を整えています。
心臓カテーテル検査は、2986例(2007年)でした。
治療としては薬物による内科的治療に加えて、カテーテルを用いた治療を多数行っています。
冠動脈インターベンションは、999例(2007年)でした。
当院の特徴として、診断カテーテルは原則として右橈骨動脈から、日帰りカテーテルで行っています。土曜日でも普段の日同様に日帰りで検査を受けることができます。
カテーテル治療も右橈骨動脈アプローチが大半を占め、病客さまに負担の少ない治療を行っています。
また、カテーテル治療では冠動脈内超音波(IVUS)を積極的に行い、病変径や病変長の正確な診断と治療効果判定を行っており、良好な成績をあげています。
さらに、外科との共同カンファレンスにより、病変に応じて外科手術との有用性を比較して、より理想的な治療法を決め、行っています。

また、当院では冠動脈病変のみならず、全身の動脈硬化性疾患の治療にも力を入れています。
2006年の末梢血管インターベンション治療数は107例、2007年は181例で、循環器内科と心臓血管外科とで合同カンファレンスを行い、腹部下肢動脈、腎動脈、鎖骨下動脈の治療を積極的に行っています。

 ICU・CCUも充実しており、急性心筋梗塞の死亡率は年々低下しております。
特に、再還流療法を行った例では非常に低くなっています(死亡率2%前後)。
ICU・CCUにて重症な循環器疾患を24時間体制で診療し、さらに、HCUでも亜急性期の充実した治療体制を整えています。

 不整脈の治療では、(従来の薬物療法に変わり)カテーテルで根治するカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)にも積極的に取り組んでいます。
当院では、1992年より県下で最初にアブレーション治療を行い、以後2000年には、中国地方以西で最初のカルトマッピングシステム(磁気三次元画像診断装置)、2007年には、エンサイトシステムも導入しこれにより、より複雑な不整脈のカテーテル治療を安全に行うことができるようになりました。
さらに、2002年より心房細動という不整脈に対してもアブレーションに力を入れています。
2007年の治療実績は、カテーテルアブレーション症例数250例と
中国四国ではNo.1、全国でもトップレベルです。

経皮的冠動脈形成術(PTCA)
 カテーテルの先端についているバルーン(風船)で冠動脈の狭窄病変や閉塞病変を拡げる治療法です

ステント
 バルーンに綱目状になった金属「ステント」を装着し、血管内にステントだけを残して血管を広げる治療法です

ロータブレーター
 小さなダイヤモンドチップで被われたカテーテル先端部を高速回転させ、狭窄部位の石灰化病変を削りとる治療法です。特にPTCAが不向きな固い病変に有用です

カテーテル・アブレーション
 頻脈性不整脈の冶療に対して施行しますカテーテルの先端に電極が付いており、高周波発生装置で通電(40〜50ボルト、20〜30ワット)し、50〜80度の熱で頻脈性不整脈の原因となっている副伝導路(太さ約1ミリ)の神経線維を焼き切ります

スタッフ

2007/03

◆糖尿病内科

 最近、生活様式の近代化にともなって、糖尿病はたいへん増加しています。
厚生労働省の2002年の糖尿病実態調査によれば、わが国の糖尿病が強く疑われる人は約740万人、糖尿病の可能性を否定できない人は約880万人と推計されています。
40歳以上では実に10人にl人が糖尿病ということになります。

 わが国では、大半の糖尿病が2型糖尿病で、糖尿病になりやすい遺伝素因のある人が、糖尿病になりやすい生活習慣(過食、運動不足、肥満、ストレスなど)をおくることによって発病すると考えられ、生活習慣病の代表的なものです。

 糖尿病は、インスリン(膵臓から分泌され、血糖を下げるはたらきのホルモン)の不足によって血糖が高くなる病気です。
血糖値が高くなれば、口が渇く、水が欲しい、尿がたくさん出るなどの症状が現われますが、無症状の人も少なくありません。 糖尿病をきちんと治療しないで、血糖値が高いままにしておくと、神経、眼、腎臓などに重大な合併症をひきおこし、失明したり、透析が必要になったりします。
また、糖尿病は動脈硬化の強力な危険因子となり、虚血性心疾患や脳梗塞、足の血行障害を起こします。

 当院は、心臓病センターとして多くの虚血性心疾患の治療にあたっていますが、糖尿病を合併していることが少なくありません。そこで、1998年2月より、糖尿病の専門外来を開設しました。
現在、毎日午前または午後に専門外来があり、2名の糖尿病専門医が診療に当たっています。
また、毎日眼科外来があり、レーザー治療も行っています。
さらに、クリニカルパスを使った糖尿病教育入院(3伯、12泊コース)もあり、療養指導士を中心とした専門スタッフが指導に当たります。
お気軽にご相談ください。

スタッフ

2007/4/27

◆眼科

 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、脳血管障害(脳梗塞)、末梢動脈疾患(下肢の血行障害)、などの動脈硬化性疾患を引き起こす基礎疾患として、糖尿病、高血圧、高脂血症などがあり、これらの疾患は眼にも重大な合併症を生ずることがあります。

 当院は心臓病専門病院として、循環器疾患と同時に糖尿病、腎不全、消化器疾患そして加齢性変化などを合わせもつ重症例の治療を多く行っているため、眼疾患の合併が少なくありません。

 当科では日本眼科学会専門医が当院各科の専門医と連携をとりながら月曜から土曜まで毎日診療し、白内障手術やレーザー治療を行っております。

糖尿病の眼合併症
 「糖尿病網膜症」は糖尿病による眼の合併症の代表的なもので、日本では常に成人の中途失明原因の第1または2位となっています。
初期から視力が低下することは少なく、末期にならなければ自覚症状が出ないため、眼科で眼底検査を受けて初めて発見される場合がしばしばあり、定期的に眼底検査を受けることが大切です。
当科では蛍光眼底撮影検査を行い、適応のある方に網膜光凝固術(レーザーによる治療)を施行しております。

 「糖尿病黄斑症」は糖尿病網膜症と関連の深い病態ですが、それほど重症に至っていない網膜症にも発症することがあります。
発症により必ず視力低下を生じ、治療が難しいのが特徴ですが、当科は光干渉断層計を備えており、網膜断層撮影を行って黄斑部病変の早期発見と治療に役立てております。

 「外眼筋麻痺」による複視(物が二重に見える症状)を生じることがありますが、当科では視能訓練士が各種の視機能検査(視力、屈折、調節、視野、眼位・眼球運動、色覚、眼圧、涙液などの検査)を行い、適切に対応させていただいております。

白内障
 当院では白内障手術を行っております。
手術は木曜日午後で、2泊3日の入院が基本ですが、前日からの入院、1泊2日入院、日帰り手術も可能です。
また、白内障手術後に生じる後発白内障に対するレーザー治療も行っております。
見え方などで気になることがある方はどうぞお気軽にご相談ください。

緑内障
 緑内障も初期び変化は自覚しにくく、末期になるまで自分では気付くことはないため、眼底検査をうけて初めて判明することの多い疾患です。
緑内障では眼圧が高いのが一般的と考えられがちですが、日本人では眼圧が正常範囲にあっても緑内障の症状を示す正常眼圧緑内障が他国に比較して多いと言われています。

 放置すれば徐々に視野が欠けて見えにくくなりますが、一度失った視野は取り戻すことができないため、進行させないための地道な治療が大切です。
当科は静的量的視野計と動的量的視野計の二種類の視野検査の器械を用いて視野変化を把握し、治療を行っております。

 私たち眼科スタッフは病客さまに安心して治療を受けていただけるよう、日々努力をしております。
まずは眼底検査から受けてみてはいかがでしょうか。

スタッフ

2007/4/27

◆消化器科

 心臓病専門病院における消化器部門は、消化器内視鏡検査/治療とHBV・HCV肝炎のある病客さまに対する肝臓画像診断(腹部CT/腹部超音波検査)が主体となっています。

消化器内視鏡検査
 心臓病のある病客さまが多いため、ストレスのない(楽に行える)消化器内視鏡検査を心掛けています(鎮静剤使用)日本消化器内視鏡学会の指導医の指導監督のもと検査を行っているので安心です。

上部消化管内視鏡検査
 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などの診断、出血性潰瘍の止血処置、早期胃癌の内視鏡治療など    
とくに悪性腫瘍では、早期癌(無症状)の診断と内視鏡治療(内視鏡下粘膜切除)を目指しています。

下部消化管内視鏡検査   
 大腸ポリープの診断、内視鏡治療など

内視鏡下逆行性胆膵管造影検査(ERCP)
 総胆管結石の診断、乳頭切開や採石といった内視鏡治療など(内視鏡治療:あらかじめ抗凝固療法薬の調整が必要です)   

 心臓病の治療では抗凝固療法が行われることも多く、思わぬ消化管出血に遭遇することも珍しくはありません。
とくに中高年の80%が陽性とされるヘリコバクター・ピロリ菌による潰瘍では、痛みがなく出血しやすい特徴があります。
当院ではリスク(危険性)のある病客さまに対して、積極的に消化器内視鏡検査をお勧めしています。
内視鏡検査を受けていただいた病客数が年ごとに増加しています。

肝臓画像診断
 HBV肝炎やHCV肝炎といったウイルス性肝炎に感染している場合、ご本人の自覚がないままに慢性肝炎→肝硬変→肝癌に進行していることがあります 。
肝臓は「沈黙の臓器」といいますが、肝癌の早期診断(大きさ2cm以内)を目指しています。

1. 1992年以前に輸血を受けた方 
2. 輸入非加熱血液凝固因子製剤を投与されたことのある人
3. フィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用を含む)を投与されたことのある人(大きな手術を受けた人)などはHCVのハイリスクとして、厚生労働省が検査を強く勧めています。 

スタッフ

2007/03

◆人工透析

 「なぜ心臓病センターなのに腎臓の病気を診るのか?」と思われるかもしれませんが、心臓の機能と腎臓の機能は非常に密接な関係にあります。

 循環器疾患に腎不全を合併し人工透析が必要になる場合や、透析導入後の合併症に高血圧、狭心症、不整脈などがあり、循環器専門医による治療が必要な場合がしばしば認められます。
また透析の死因として最も多いのが心不全です。
心筋梗塞も合わせると約40%の透析病客さまが、循環器系合併症で亡くなります。
したがって、透析の予後を改善し、よりよい生活を送っていただくために、循環器系合併症の専門的治療は必要不可欠です。
当院では、透析専門医と循環器専門医とが協力して治療を行っています 。

 また近年、透析に糖尿病性腎症(糖尿病が原因で腎臓に機能が低下する疾患)の占める割合は、増加の一途をたどっています。
当院では、糖尿病専門医の協力のもと、緻密な血糖、循環器疾患も含めた糖尿病性合併症、 透析のコントロールを行っています。

 透析スタッフ一同、透析病客さまに充実した生活が送れるよう、全力を尽くしてお世話させていただいております。

 安定した維持透析病客さまはもちろん、循環器系合併症を抱えた維持透析病客さまの管理・治療および他院で維持透析を受けられている病客さまの循環器系合併症の治療も行っております。

スタッフ


◆麻酔科

 手術室で行われる予定手術、緊急手術の麻酔は、当院の麻酔科専従医師が担当します。(日本麻酔科学会 指導医を含む。)病客さまの疾患、手術内容、治療の状況、その時の年齢、体力などを考え合わせ、体への負担が最も少ない麻酔方法を選択します。
@ 全身麻酔
   当院での手術は基本的に全身麻酔で行います。
   いろいろな麻酔薬を組み合わせることで、意識、痛みをとりさり、より良い手術が受けられるようにしていきます。
   心臓手術、大動脈瘤の手術の場合は手術後もゆっくり覚めるような麻酔方法をとっています。
A硬膜外麻酔
   肺の手術、腹部の手術のときに行います。
   全身麻酔と併用することで、さらに良好な麻酔状態を得ることができます。
   背中からの注射、処置が必要ですが、薬液注入用の細い管(カテーテル)を残しておくことで
   目的部位の手術中、さらに手術後の鎮痛を得ることができます。
B脊椎麻酔
   いわゆる下半身麻酔です。
   腰部(背中)から極細の針で注射することで2.3時間程度の麻酔状態を得ます。
   虫垂炎、下肢静脈瘤などの麻酔に適しています。

 手術中は麻酔科医が付き添い、手術室スタッフと共に、安全な医療のために気を配っています。
小さなことでも、不安、疑問な点がございましたら、手術前日の麻酔科訪室時に、遠慮なく尋ね下さい。

スタッフ

2007/03

◆放射線科

 CT、MRI、核医学検査結果はすべて放射線科専門医により検査報告書を作成しています。
その他、消化管造影検査、一般撮影検査なども必要に応じて専門医による画像診断を行っています。
当院の放射線画像システムの特徴としては、フィルムレス化によるモニター運用があげられます。
各病棟や外来の端末モニターからCT、MRI、核医学、一般撮影、消化管造影、血管造影および冠動脈造影などの画像参照ができます。
モニター上では、検査目的や診断部位に合わせた適切な画像コントラストに自在に調節することができ、また瞬時に過去の画像と比較することもでき、迅速で精度の高い診断や治療方針の決定に貢献しています。

CT検査について
 最新の64列マルチスライスCTで、急性期の疾患にも対応できる質の高い検査を心がけています。
当院のCT診断の特徴は、心臓CTおよびCT血管撮影の検査件数が多いことです。
心臓CTでは、冠動脈疾患および冠動脈バイパスなどの検査が行われます。

冠動脈CT検査時間は10秒以下となり、これまで冠動脈造影で診断されていたものがCT検査で可能となり、数多くの検査が行われるようになりました。
CT血管撮影では、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症など、これまで血管造影により診断されていたものがCT検査で診断できるようになりました。
心臓CTやCT血管撮影はともにコンピュータ処理による立体的な画像(3次元CT)で観察できます。
また、通常の単純CT検査では、放射線被曝低減プログラムを使用することでこれまでよりも被曝量が少なく、病客さまにやさしい検査となっています。

MRI検査について
 最新の1.5T超電導MRI装置が稼働しています。
循環器専門病院としての特徴を生かした心臓MRI検査やMR血管撮影などの臨床応用が得意分野です。
心臓MRIでは、心臓の動きの客観的評価や遅延造影による心筋梗塞部位の描出などを行っています。
非造影MR血管撮影では、造影剤を使用せずに大動脈や末梢血管の検査ができます。
造影剤を用いるMR血管撮影では、石灰化が強くてCT検査でわかりにくい病変をくわしく調べることができます。
循環器疾患の合併症として起こりうる脳卒中に関連した検査として、ごく早期の脳梗塞の診断もできます。
消化器系の検査としては、MR胆管膵管撮影による非侵襲的な胆道系および膵臓の検査やダイナミックMRIによる肝臓の検査なども多く行っています。

核医学検査について
 循環器科の協力により心臓核医学検査を中心に行われています。
心臓核医学では、検査の中心となる心筋血流イメージングでは全例に心電図同期検査を行っており、心機能や心室壁運動の評価を同時に行っています。
心筋虚血での心筋脂肪酸代謝イメージングや心不全の心筋交感神経機能イメージングなども数多く行っています。
その他、肺塞栓症の診断のための肺血流イメージングや腫瘍や炎症を調べるための検査などが行われています。

スタッフ

2007/03