心臓病センター榊原病院のホーム心筋梗塞・狭心症心不全心臓弁膜症
不整脈・アブレーションペースメーカ・ICD大動脈瘤・大動脈解離その他心臓血管疾患
予防について糖尿病透析・腎高血圧消化器眼の病気

心筋梗塞・狭心症

《どのような病気?》
 狭心症・心筋梗塞は心臓を養う血管(冠動脈)が動脈硬化により狭くなったり、詰まったりする病気です。

・狭心症は冠動脈が狭くなった状態
・心筋梗塞は狭い部分に血のかたまり(血栓)ができて冠動脈が完全に詰まった状態

《治療は?》
 内科的治療としては薬による治療とカテーテルによる治療があります。
急性心筋梗塞で発作が起こってから12時間以内であれば、カテーテルによる治療(再開通療法)が非常に効果的です。

《手術適応は?》
 外科的治療としてはバイパス手術があります。
適切な治療法を決めるためにはカテーテル検査(冠動脈造影)が必要です。
冠動脈は3本ありますが、原則として1〜2本が狭い場合には内科的治療が、3本とも狭い場合には外科的治療が選択されます。

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心不全

《どのような病気?》
 心臓は、ポンプとして体全体に血液を送ることを仕事としています。
このポンプの力が弱って、体内を血液がうまく循環しなくなった状態が心不全です。
顔や手足がむくみ、少しの運動で息が切れます。尿が少なくなり、体重が増加します。
ひどくなると、肺に水がたまり呼吸困難となります。
原因としては、心筋梗塞や心筋症、また高血圧や不整脈でも心不全になります。

《治療法は?》
 従来こうした心不全に対しての治療は、薬物治療が中心で、限られた症例で心臓手術、心臓移植などがおこなわれてきました。

《新しい治療法》  
 最近欧米で、ペースメーカーを使った新しい心不全の治療が開発、実用化されました。
それが日本でも2004年4月1日に保険認可されました。(保険を使って治療可)
この治療の原理は、次のようなものです。

 "心不全の人の一部では、心臓の中の、右心室と左心室の収縮するタイミングがずれている。
そのために、そうでなくても弱った心臓の効率をさらに悪くしているということがわかってきました。
それでは、そのずれを治して、右心室と左心室が同時に収縮するようにしてあげれば良いではないか。
そのためには、右心室と左心室にリード線をつけてペースメーカーで同時に刺激してあげればよいではないか"

というものです。  

 これが心臓再同期療法と呼ばれるものです。(英語では、Cardiac Resynchronization Therapy -頭文字をとってCRTと呼ばれます。)
"両心室ペーシング"とも呼ばれていましたが、最近ではCRTに統一されようとしています。  
ペースメーカーというのは本来、脈が遅くなった人の治療に用いる器械ですが、右の心房、心室にリード線を入れて使用するものでした。
それを、さらに左の心室にリード線をつけて、右心室と左心室を同時に興奮させる、という点が新しいわけです。
欧米では、1996年頃より研究が進み、大規模臨床試験などの結果から、心不全の新しい治療法として既に認可され、そのための専用のリード線、ペースメーカーが開発されていましたが、わが国ではまだそれを使用することができなかったわけです。
(特にこの治療のポイントは、左心室へのリード線がうまく留置、固定できるかということにかかっています。
そのために開発された専用リード線が、使用できるようになりました。)  

 この専用リード線と専用のペースメーカー(2004年4月1日から保険認可)が使用できるようになったことで、従来のペースメーカーと同様の手技で、病客さまへの体への負担は軽く、高い成功率で心臓再同期療法が行えるようになりました。

この治療の出現は、従来の薬物治療のみではなかなか症状がとれなかった人にとって朗報ということができ、多くの人に恩恵をもたらしてくれるものと考えています。

心臓再同期療法の前後での胸部X線写真。矢印で示した心臓の腫れがとれていることがわかります。
CRT前
CRT後
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◆心臓弁膜症

《どのような病気?》
 1方向に血液を押し出していくため、心臓には4つの逆流防止弁があり、この弁の病気を弁膜症といいます。 

・逆流するものが閉鎖不全症
・狭くなったものが狭窄症と呼ばれ
 大動脈弁狭窄症(動脈硬化性)、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症(粘液変性)、
 僧帽弁狭窄症(リウマチ性)などが代表的です。 

《治療は?》
 薬により心臓の負担軽くし、中等症以上では,手術が必要となります。
手術には、弁を切ったり縫ったりして修繕する「弁形成術」と、人工弁に取り替える「弁置換術」があります。
臨床工学技師とのチームプレーで人工心肺を使って全身に血液を送りながら、心臓を開いて手術します。

《手術適応は?》
 それぞれの弁膜症で決まっており、大動脈弁・僧帽弁の逆流は中等度以上(超音波検査や心臓カテーテル検査)、大動脈弁狭窄では圧格差40-50mmHgなどで決まります。
自分で心機能が悪くても生活制限して症状が出ない場合があり注意が必要です。

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不整脈/アブレーション

《どのような病気?》
 心臓は、毎分50回-90回で規則正しく収縮しています。
この数が少なくなったり(徐脈性)、突然多くなったり、不規則になったり(頻脈性)して変調をきたすのが不整脈です。

《治療は?》
 薬を用いる薬物治療と用いない非薬物治療があります。
最近では、薬剤の長期使用による副作用から、非薬物治療が注目されています。
徐脈性ではペースメーカー治療、頻脈性ではカテーテルアブレーション治療が中心になっています。

 カテーテルアブレーションとは カテーテルを使って、不整脈の原因となっている心臓の中の悪い部位を焼き潰してしまう治療です。
局所麻酔で、体への負担が少なく、傷を残さずに、不整脈を根治してしまいます。
当院では1992年から取り組んできており、日本全国でも十指に入る成績です。
平均成功率95%で、安全性も高いものです。

《アブレーションの適応は?》
 WPW症候群、発作性上室性頻拍、心房粗動、特発性心室頻拍などです。
心臓手術後の心房頻拍、発作性心房細動なども適応があります。

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ペースメーカー・ICD(埋め込み型除細動器)

《ペースメーカーとは?》
 心臓はからだ全体に血液を送るポンプです。
そのポンプの動きをコントロールしているのが刺激伝導系です。
刺激伝導系のぐあいが悪くなると、心臓の動く回数が極端に少なくなったり、めまいや失神をおこしてきます。
動かなくなると、心不全を起こします。
ひどい時は生命に危険が及びます。
こわれた刺激伝導系のかわりに、心臓の動きをコントロールしてくれるのがペースメーカーです。

《ICD(植込み型除細動器)とは?》
 急に心臓がケイレンをおこしたような状態となり、生命があぶなくなる病気として心室細動と心室頻拍があります。
この心室細動と心室頻拍をすぐに見つけて、心臓のはたらきをもとに戻すのがICD(植込み型除細動器)です。

《適応は?》
 ペースメーカーは、重症の房室ブロック・洞不全症候群・徐脈性心房細動などの病気が適応となります。
ICD(植込み型除細動器)は心室細動・心室頻拍などの病気が適応となります。

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大動脈瘤・大動脈解離

どのような病気?》
 大動脈瘤とは壁が弱くなり部分的に大動脈が異常に大きく膨らんでくる病気です。
大動脈解離とは突然大動脈壁に亀裂がはいることによって発生する病気です。

 大動脈瘤と大動脈解離の違いは、大動脈瘤は動脈の壁の一方が風船のように薄くなりながら膨らんできます。
大動脈解離は必ずしも動脈の拡張は伴わず、内臓の血流障害を来すことがよくあります。

どのような治療が行われるのか》
 ある程度以上大きくなれば破裂の危険性があるため手術治療などが必要となります。
大動脈解離については心臓に近い部分に解離が発生すれば通常は手術となります。

《手術適応は?》
 胸部大動脈瘤では長径6cm、腹部大動脈瘤では長径4cm以上あれば手術をおすすめします。
腹部大動脈瘤については低侵襲治療としてステントグラフト留置術が可能な場合があります。
大動脈解離で心臓に近い大動脈に急性解離(亀裂)が発生した場合は緊急救命手術が必要です。

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◆その他心臓血管疾患

《どのような病気?》
 喫煙、糖尿病などにより動脈硬化が進むと、下肢、上肢の動脈が閉塞し、血の流れが悪くなることがあり、閉塞性動脈硬化症と呼ばれます。
100m程歩くと足の筋肉が痛くなり、休むとまた歩けるといった症状(間欠性は行)が典型的です。

《治療は?》
 外科治療 薬物治療や運動療法をはじめ、狭窄病変(血管が狭くなっている)にはカテーテル治療(風船、ステント)、閉塞病変(血管が完全につまっている)には人工血管や自家静脈を用いたバイパス手術などがあります。
それぞれの病客さまに合った治療を行います。

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◆心疾患予防について

《心臓病の危険因子》
 世の中には元気で健康なお年寄りもいれば、まだ若いのに狭心症、心筋梗塞といった心臓病になってしまう人もいます。
病気の発生に深く関わるものを危険因子といいます。

心臓病の危険因子として、
 ・高血圧
 ・高コレステロール血症
 ・喫煙
 ・肥満
 ・糖尿病
 ・ストレス
 ・高尿酸血症などがあります。

 危険因子が2個あると、心臓病に約10倍かかりやすくなり、3〜4個あると約31倍もかかりやすくなるといわれています。
腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上で「高血圧」「高コレステロール血症」「高血糖」の内2項目以上該当する状態をメタボリックシンドロームと呼んでいます

《運動療法の意義》
 昔は心臓病にかかったら、「安静第一、無理をしない」が普通でした。
しかし、最近は適度な運動が心機能を回復させ、生活習慣病を予防し、生活の質を向上させることがわかり、積極的に運動療法を行うようになりました。
ただし、飲み薬と同じく、運動にも1人ひとりにあった方法や量があり、決められた量と用法を守ってこそ効果があります。

当院では専門スタッフによる心臓リハビリテーション運動指導を行っています

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心臓病関連領域
糖尿病

どのような病気?》
 糖尿病は血糖が異常に高くなる病気で、過食、運動不足などの生活習慣が続くと、インスリンが不足して起こります。
血糖が高い状態を放置すると、合併症が起こります。
過去1ヶ月間の平均血糖値を反映するグリコヘモグロビン(正常値5.8%以下)が6.5%を超えると黄信号、8%を超えれば赤信号です。

《合併症は?》
 合併症には、神経障害、網膜症、腎症の三大合併症と動脈硬化による心筋梗塞、脳梗塞、足の壊疽などがあります。
早期発見が大切で、定期的な検尿、眼底検査、心電図、頚動脈エコー、脈波伝達速度などの検査を受けましょう。

《治療は?》
 治療の基本は食事・運動療法で、肥満のある方は体重の減量が第一です。
薬には経口薬とインスリン注射があり、病状に応じて使用します。
極端にインスリンが出なくなっている方(1型糖尿病)や経口薬の効き目が悪い方にはインスリンを使います。

健康教室

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透析/腎高血圧

《透析が必要となる病気》
 現在日本人で透析を開始する場合、最も多い病気は糖尿病
です。
また、高血圧など動脈硬化が原因で透析を開始する病客の方も急速に増加しています。

《腹膜透析とは?》
 自分の腹膜を腎臓の代わりに使って、体に貯まった毒素を出す治療法です。
自宅でできるために、慣れれば血液透析に比較して、食事や仕事の制限などが比較的少なく優れた治療法です。
体にやさしいため高齢者にもお勧めです。

《人工透析の適応は?》
 腎臓の機能が極端に低下すると、尿の量が少なくなり、尿により排泄されていた毒素が体に貯まるようになり体調が悪くなります。
そのような状態になると透析が必要になります。

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消化器

《消化器検査が必要なのか?》
生活習慣病の中でガンによる死亡が第1位です。日本人の40%は悪性腫瘍で死亡し、2人に1人はガンに罹患するともいわれています。早期ガンでは症状はなく、進行ガンになって臨床症状が出現します。ごく早期のガンであれば内視鏡治療が可能なものもあります。

喫煙は咽頭、喉頭、気管支、肺などの呼吸器系、食道、胃、尿管などの尿路系の発ガンの原因の一つです。また、糖尿病では30%ガンの罹患率が上昇します。喫煙や糖尿病は心臓病のリスクを高めるだけでなく、ガンにもなりやすくなる危険因子です。

血管内に血栓ができないよう抗凝固療法を行っているため、しばしば急速に貧血が進むことがあります。とくにバイアスピリンは消化管粘膜の障害作用があり、輸血が必要な消化管出血やさらに重篤な出血性ショックで担ぎ込まれた経験もあります。

安全な医療の推進には、ハイリスクの病客の絞り込みと定期的な検査の勧奨が必要と考えており、こうした病客さまに対する内視鏡検査をお勧めしています。

《心臓病と胃潰瘍との関係は?》
直接関係は証明されていません。日本では中高年の80%にヘリコバクター・ピロリ菌が陽性であり、その4?5%に潰瘍が発症するとされています。潰瘍から見ると、胃潰瘍の70%、十二指腸潰瘍の90?95%は?ヘリコバクター・ピロリ菌が原因となっています。ヘリコバクター・ピロリ菌による潰瘍は、出血しやすく痛みがないのが特徴です。

また、バイアスピリンの副作用として、胃潰瘍があります。当院の2005年の統計では、バイアスピリン内服をしている600例中46例(7.7%)に潰瘍性病変が認められました(日本消化器内視鏡学会へ報告)。自覚症状のないまま思わぬ出血(抗凝固療法中)から輸血が必要となる場合があります 。

NEW'S
ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌は従来の除菌療法(一次除菌:プロトンポンプインヒビター・アモキシシリン・クラリスロマイシンの3剤)が無効の場合、新しく二次除菌としてプロトンポンプインヒビター・アモキシシリン・メトロニダゾールの3剤の除菌療法を行うことが2007年秋保険認可されました。

当院でも胃潰瘍・十二指腸潰瘍といった除菌適応のある病客さまに除菌を行っています。

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2008

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眼の病気
糖尿病網膜症

《どのような病気》
 糖尿病では全身の血管で循環器障害が起こります。
網膜の毛細血管でも、血管壁の障害のために血液成分が血管から漏れ出して網膜に蓄積したり、血管閉塞を生じて網膜に血液が十分に供給されなくなったりします。

この状態を放置すると網膜に新生血管が生え、増殖性変化を生じて、硝子体出血や網膜剥離を起こしたり、血管新生緑内障を起こしたりして失明につながってゆきます。


正常な網膜(左)  血流の悪い網膜(右)
糖尿病黄斑症

《どのような病気》
 黄斑部(視力にとって最も重要な網膜の中心)に浮腫を生じたり、滲出物や虚血を生じたりして直接視力が低下します。

《どのような検査で診断》
 光干渉断層計を用いて、網膜断層撮影を行って黄斑部病変の早期発見と治療に役立てます。
※光干渉断層計による撮影写真(右図)

▼三次元眼底像撮影装置で撮影

正常網膜


浮腫を生じた網膜
白内障
《どのような病気》
 水晶体(眼のレンズにあたる部分)が混濁し、視力が低下したり、かすんで見えたりする状態です。
原因は加齢によるものがほとんですが、外傷性、先天性、全身疾患によるもの(糖尿病やアトピーなど)もあります

《治療は?》
 手術により水晶体の濁りを取り除き、人工の眼内レンズを挿入します。
若返る手術ではないので老眼は治りません。


白濁した水晶体

人工の眼内レンズ挿入
後発白内障
《どのような病気》
 白内障の手術後数ヶ月〜数年たって、眼内レンズを支えている水晶体の袋(水晶体嚢)が混濁することです。
症状は白内障と似ています

《治療は?》
 外来での簡単なレーザー治療で視力改善が得られます。


レンズに線維細胞が付着(左)
レーザー治療後(右)
緑内障
《どのような病気》
 眼の圧力で視神経が傷つき、視野が狭くなっていく病気です。
多いタイプの開放隅角緑内障は、10〜15年という長い時間をかけて進行していきます。
そのため初期の状態ではなかなか気付きません。
それは、人間の眼は両目でものを見ているので、片方の視野に見えないところがあっても、もう片方がそれを補ってしまうからです

一度、片目を手などで隠して確認してみるのも自分でできることのひとつです 。

《治療は?》
 傷ついた視神経は元に戻りません。
進行を抑えることが目標となります。
点眼薬を用いる方法と手術する方法があります。
初めは、点眼薬により眼圧を調整する方法が一般的です。



左:初期  右:中期