災害対策自然災害に配慮した病院です

土地環境と災害

これまで岡山県は災害が少なく水が豊富で住みやすい県とされてきました。しかし、過去に南海トラフを震源とする大地震が起き、岡山でも津波被害の出た歴史があり、また瀬戸内海は約2万5000年前に大きな地殻変動により一晩で沈んでできたといわれています。したがって、岡山県や岡山市の防災マップをもとに、南海地震や東南海地震に備えることが重要と考えています。

こうした防災マップによれば、岡山県に到達する津波は2m。防波堤や防潮堤が地震などで破壊されたとして国道2号線を超えて市街地に津波が押し寄せますが、病院のある中井町には到達しません。ただし、津波による旭川の逆流は防災マップでは計算されていません。東日本大震災では10km以上にわたり津波による河川の逆流が起こったことを踏まえ、当院では病院の建築部分を1m盛土し、1F部分を5mと通常よりも高くしています。想定を超える浸水があっても、2F部分には浸水することがないよう配慮しています。建物としては、建築基準法の1.25倍の耐震性を持っています。

災害時の対策

非常用井戸
非常用井戸
ヘリポート
ヘリポート

非常用電源、非常用水(屋内プール)、サーバ室(電子カルテ)、厨房、食糧備蓄、薬局、薬剤備蓄、電源用燃料(サービスタンク)はすべて2F以上に設置しています。さらに、庭園部分には非常用井戸(浸水対策実施済)があり、災害時には飲料可能な設備となっています。

食糧、薬剤、エネルギーなどの補給においては道路や橋が分断された場合に備え、屋上ヘリポートがあります。ドクターヘリ(3.5t)だけでなく防災ヘリ(6.4t)の離発着ができ、屋上から直通エレベーターでスムーズな物資輸送ができる構造になっています。

停電の対策

非常用電源
非常用電源

厚生労働省は病院に非常用電源の設置を求めていますが、その設備能力には基準がなく病院の判断に委ねられています。(非常用電源の設置には数千万単位の投資がかかり十年もしないうちに更新が必要なことから、多くの病院では一部稼働で6時間程度の供給能力しかないのが実情です。)
当院では、フル稼働で48時間、25%稼働で6日間稼働できる能力があり、全国でもトップレベルの設備です。 とくに血管撮影装置の再起動には瞬間的に大容量の電力を必要とし、心臓カテーテル検査を行っている大半の医療機関では停電するとそのまま停止してしまいます。

当院では血管撮影装置の再起動が可能であり、たとえステント治療の途中に停電しても安全に治療を続けることができます。とくに電気配線は機能別に系統を細分化し、必要な負荷に選択的に配電できるシステムになっており、停電時にも食糧や薬剤を保管する冷凍庫や冷蔵庫に安定した電力の供給ができます。
さらに、停電リスクが極めて低い特高高圧受電(22000V)を2回線契約(常用側と予備側)をしており、停電リスクを回避しています。

断水の対策

リハビリ棟2階プール

水は医療行為を継続するためには欠かせません。
災害時には公共の水道管が破損し、水道水の断水や汚水の混入が予想されます。
当院は貯水槽を設置しており、一時的な断水(10時間程度)であれば制限なく利用可能。また地震の揺れを自動で感知し給水を止めるシステムを取り入れ、水道管破裂などによる汚水混入を防止します。
長期間断水が継続する場合は、井水設備を飲料水として利用できます。またリハビリ棟2階にあるプール水をバルブ操作することで非常用水(トイレの洗浄水)として活用することができるようになっています。

排水の対策

震災時に想定を超える浸水があった場合に公共下水道の利用が困難となると考え、普段は使用しない非常用汚水タンクを備えています。通常の下水管を閉鎖し汚水の逆流を防ぎ、非常用汚水タンクに切り換えて3日分程度の排水を貯めることができます。(水浸しの状況であっても水の使用が可能です。震災時でも3日もすれば水が引くと想定されています。)

  • 震災時にはトリアージを行い、診療能力を超える受け入れは制限をさせていただく場合があります。同時に外来、病棟、病室、エレベーターなどの電力供給は制限させていただきます。
  • 当院は災害拠点病院ではありませんので、救援物資の配給がすぐには受けられず治療を必要としない被災者の受け入れには対応できません。
  • 非常事態下では駐車場棟の開放、駐車している車両の燃料提供に協力していただくことがあります。

防災対策

建物の構造

  • 基礎は岩盤に打ち込み、国土交通省の新耐震基準をクリアしています(建築基準法の1.25倍)
  • 建築部分を1m盛土し、1F部分を5mと通常よりも高くしています。想定を超える浸水があっても、2F部分には浸水することがないよう配慮しています
  • 電気配線の基幹部分は二重配線化し、停電時にも電子カルテサーバーの他、食糧や薬剤を保管する冷凍庫や冷蔵庫に安定した電力供給が可能です
  • スプリンクラーを完備しています
  • 燃えてもダイオキシンの発生しない難燃性の建材を使用しています
  • リハビリ棟 2階プールの水が非常用水として利用可能です

自家発電装置(2基)

  • 特高受電の予備電源契約をしています
  • 非常用電源は、25%稼働で6日間稼働できる能力があり、全国でもトップレベルの設備です
  • 血管撮影装置が停電で停止しても、再起動が可能です(大半の病院では非常用電源で再起動できないといわれています)

非常時対策

  • 非常時に備えて、防災訓練を毎年1回、火災訓練を毎年2回、それぞれ実施しています
    災害に直面した時、職員一人ひとりが自身の役割を確実に果たせるよう、様々な状況での災害時対応の行動と方針をまとめ、訓練を重ねています
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